訪問レビュー

訪問日:2026-09-25

タリアセンのすぐそば、苔むした石垣の奥に建つ別荘

2026年9月25日、軽井沢タリアセンのすぐそばに佇む「一房の葡萄」を訪ねました。苔むした石垣に沿って進むと、木々の間に焦げ茶色の板張りの2階建てが現れます。入口の看板には「ライブラリーカフェ 一房の葡萄」「旧有島武郎別荘『浄月庵』」の文字。新しく建てたカフェにはない、年月を重ねた建物の佇まいがまず目に入りました。

一房の葡萄は、作家・有島武郎の別荘「浄月庵」を移築・保存した建物を使うライブラリーカフェです。昔の建物を再現したのではなく、有島武郎が実際に夏を過ごした別荘そのものが移築されています。高原文庫によれば、建物は父の有島武が明治末期に建てたもの。100年以上前の軽井沢の別荘文化が、そのまま残っていることになります。

木造建築の空気と、2階の有島武郎の資料

建物に足を踏み入れると、長い年月を重ねてきた木造建築ならではの空気を感じます。黒光りする柱と白い壁、赤い絨毯を敷いた木の階段。2階には有島武郎にまつわる資料が展示されていて、カフェでありながら軽井沢の文学や歴史に触れられるのが、この場所ならではです。

有島武郎は『或る女』『生れ出づる悩み』などで知られる白樺派の作家で、店名の『一房の葡萄』は彼の童話集の題です。1916年から1922年まで、この別荘で夏を過ごしました。コーヒーを待つあいだに2階の展示をのぞくと、一杯の時間が少し違って感じられます。

店内に入ると、この建物の雰囲気にぴったりな店員さんが、優しく「いらっしゃいませ」と迎えてくださいました。

テラス席へ。木々に囲まれて、時間の流れがゆっくりになる

この日はテラス席へ。屋根のかかったベランダに籐の椅子と木のテーブルが並び、手すりの向こうは一面の緑です。周囲の木々を眺めながら過ごしていると、開放感も抜群で、軽井沢らしいゆったりとした時間の流れを感じます。

テラスは屋根付きなので、日差しの強い日や小雨の日でも使えそうです。9月下旬は木々がまだ青く、ここから秋が深まると色づいた森を眺められるはずです。営業は11月上旬までなので、紅葉の時期に合わせて行くなら最終営業日の確認をおすすめします。

チーズケーキとコーヒー。葡萄を思わせる染付の器

注文したのはレアチーズケーキ。SNSで見かけることが多く、以前から気になっていたメニューです。運ばれてきて最初に目を引いたのは、素敵な器でした。青い染付のお皿と、房のような柄のカップ&ソーサー。どこか和の趣を感じる食器とレアチーズケーキの組み合わせが、この建物の雰囲気によく馴染んでいました。

チーズケーキはもちろん味も美味しく、コーヒーとの相性も◎。真っ白なケーキに赤いソースがひとしずく、下にはスポンジの台。歴史ある建物と緑に囲まれながらいただくことで、いつものカフェ時間とは少し違った特別感があります。

価格は店頭の手描きメニューで、ケーキ(レアチーズ/チョコレート)800円、コーヒー800円、ミルクコーヒー850円、ダージリン820円、ミルクティー880円、アフォガート1,150円など。ケーキかトーストにドリンクを付けると200円引きになります。支払いは現金のみの掲示でした。

一人で読書をする人が多い、静かなカフェ

店内を見渡すと、一人で訪れている方の姿が多く、それぞれが読書をしたり、静かに景色を眺めたりしながら自分の時間を楽しんでいました。会話や音で賑わうカフェとはまた違い、ここにはゆったりと落ち着いた時間が流れています。

「ライブラリーカフェ」という名のとおり、本を1冊持って行って、ケーキとコーヒーで1時間ほど過ごすのがいちばん合う使い方だと思います。一人で静かに過ごしたい日にも訪れたくなる場所です。

バス停は目の前、駐車場も広い

立地は軽井沢タリアセンのすぐ近く。目の前にはバス停があり、駐車場も広いため、車でも公共交通機関でも訪れやすいのが嬉しいところです。高原文庫の案内では、軽井沢駅北口からの急行塩沢湖線バスで「塩沢湖」下車、徒歩約1分です。

タリアセンとあわせて立ち寄るのはもちろん、このカフェを目的に訪れてみるのもおすすめです。高原文庫の本館や、同じ敷地にある堀辰雄の山荘を見てからお茶にする、という回り方もできます。

ひとつだけ注意を。店頭の掲示では、金曜日は12時開店でした。館側の案内は11時〜17時なので、金曜の昼前に着く予定なら気をつけてください。

まとめ:軽井沢だからこそ残っている時間を味わう一軒

昔の軽井沢の別荘文化を肌で感じながら、日常から少し離れた時間を過ごせる「一房の葡萄」。新しいおしゃれなカフェとはまた違う、軽井沢だからこそ残されている歴史や空気まで楽しめる場所でした。

軽井沢へ遊びに来る友人にも、ぜひ紹介したいお店のひとつです。

お店の概要

公式サイトなどの公開情報から、編集部が整理しています。味・サービスの評価は、上の訪問レビューにのみ書いています。

文豪・有島武郎が実際に夏を過ごした明治末期の別荘「浄月庵」そのものでお茶ができる、軽井沢でもほかにない一軒です。1階の洋間とテラスがカフェで、2階には有島の資料が展示されています。ケーキとコーヒーが各800円で、セットにすると200円引きの1,400円。高原文庫に入館しなくても使え、塩沢湖のバス停から徒歩約1分、隣に軽井沢タリアセンの大きな駐車場があるので、車でもバスでも行きやすい立地です。注意点は3つ。春から11月上旬までの季節営業であること、水・木曜が定休で金曜は12時開店の掲示があったこと、支払いが現金のみであること。高原文庫の展示やタリアセンの散策と組み合わせると半日〜1日のコースになります。

業態
軽井沢高原文庫(1985年開館の文学館)の敷地内にあるライブラリーカフェ。高原文庫に入館しなくても、カフェだけの利用ができる(館側案内)。カフェは1階の洋間2部屋とベランダ(テラス席)を使い、2階には有島武郎にまつわる資料が展示されている 出典
建物
有島武郎が1916年(大正5年)〜1922年の夏を過ごした、三笠の別荘「浄月庵」。父・有島武が明治末期に建て、父の死後に武郎が譲り受けた。武郎はここで『信濃日記』などを書き、1923年(大正12年)6月にこの別荘で亡くなった。1989年(平成元年)に高原文庫の敷地へ移築保存。再現ではなく、当時の建物そのもの 出典
店名
有島武郎の童話集『一房の葡萄』から(館側案内)。店頭のメニューにも葡萄の絵が添えられ、器も房の柄の染付だった(実訪問・2026年9月25日) 出典
場所
長野県北佐久郡軽井沢町長倉202-3(軽井沢高原文庫の敷地内)。塩沢湖・軽井沢タリアセンのすぐそば。国道18号の塩沢信号を南へ約500m。問い合わせ先は高原文庫(0267-45-1175) 出典
営業
11:00〜17:00・水曜/木曜定休(夏季は変更あり)。2026年度は11月上旬まで営業予定(軽井沢高原文庫のブログ・2026年4月12日)。2024年度は8月のお盆期間中は無休だった 出典
金曜は12時開店
2026年9月25日の店頭掲示は「OPEN 11:00-17:00/金曜日は12:00-17:00」「金曜は12時開店です」。館側のブログには金曜の記載がないため、金曜の昼前に着く予定なら開店時刻に注意(実訪問)
季節営業
春から11月上旬までの季節営業で、冬は休業。軽井沢高原文庫そのものも12〜2月は冬季休館(公式)。紅葉の時期(10月下旬〜11月上旬)は営業の終盤にあたるので、行く前に館側の案内で最終営業日を確認する 出典
席
屋内(1階の洋間)と、木々に面した屋根付きのテラス席(ベランダ)。テラスには籐の椅子と木のテーブルが並ぶ(実訪問・2026年9月25日)。席数はグルメサイトに32席(テーブル16・テラス16)とあるが、公式の記載は確認できていない
アクセス(バス)
軽井沢駅北口から急行塩沢湖線バスで「塩沢湖」下車、徒歩約1分(420円)。町内循環バス東・南廻り線なら「風越公園」下車、徒歩約10分(100円)。訪問時の実感としても、バス停は店の目の前だった 出典
アクセス(車・タクシー)
上信越道 碓氷軽井沢ICから車で約15分。軽井沢駅からタクシー約10分、中軽井沢駅からタクシー約7分(高原文庫公式) 出典
駐車場
高原文庫の公式案内には駐車場の記載がない。隣接する軽井沢タリアセンの駐車場は180台・普通車500円(タリアセン公式)。2026年9月25日の訪問時も駐車場は広く、停めやすかった。カフェだけの利用で駐車料金がどう扱われるかは未確認 出典
支払い
現金のみ。店頭に「現金でお願いします」の掲示があった(実訪問・2026年9月25日)
作業
Wi-Fi・電源は公式に記載がなく、訪問時も案内を確認できなかった。一人で読書をしたり景色を眺めたりして過ごす客が多い静かな店で、PC作業より読書や休憩に向く
犬連れ・子連れ
どちらも公式に記載がなく未確認。建物は明治末期の木造の別荘で、2階の展示へは木の階段を上がる(実訪問)。隣接する軽井沢タリアセンは「建物内にペットは入れません」としている 出典
あわせて回れる場所
同じ敷地に軽井沢高原文庫の本館(企画展・大人800円)、堀辰雄1412番山荘、野上弥生子書斎がある。軽井沢タリアセン(塩沢湖・ペイネ美術館・深沢紅子野の花美術館)へは高原文庫から徒歩5分ほど。ミュージアムセット券は大人1,600円で、タリアセン入園と3館の入館を含む 出典

出典:ライブラリーカフェ 一房の葡萄の公式サイト・公式SNS等の公開情報(2026-10-01時点で編集部確認)。営業時間・定休日・冬季休業は変わりやすいため、最新・詳細は必ず公式でご確認ください。

ドリンク2026年9月25日の店頭メニュー(手描き)を編集部が読み取ったもの。税込・税別の表記はなし。ケーキまたはトーストとドリンクのセットは200円引き。支払いは現金
  • コーヒー800円

    ビターブレンド・深煎りブレンドなど、ブレンドの書き込みあり

  • ミルクコーヒー850円
  • アイスコーヒー800円
  • ダージリン820円
  • ミルクティー880円
  • ジュース(ぶどう/りんご/オレンジ)800円
ケーキ・軽食2026年9月25日の店頭メニュー。ケーキまたはトーストにドリンクを付けると200円引き(例:ケーキ800円+コーヒー800円=1,400円)
  • ケーキ(レアチーズ/チョコレート)800円
  • アフォガート(アイスクリーム+コーヒー)1,150円
  • トースト800円

    絵にサラダ・ジャムの書き込みあり。内容は店頭で確認

※ メニュー・価格は2026-10-01時点の公開情報にもとづく編集部まとめです。品切れ・季節替わり・改定があるため、最新・詳細は公式でご確認ください。