「軽井沢に教育移住」という言葉には、いくつもの学校が混ざっています。風越学園、ISAK、インターナショナルスクール、公立、保育園。名前は聞くけれど、自分の子どもにどれが合うのか、何を基準に選べばいいのかは、外からは見えにくいものです。

わが家は2024年10月に東京から軽井沢へ移住し、子どもは軽井沢風越幼稚園に通っています。移住前には、イートンハウス(インター系)なども実際に検討しました。この記事は、観光メディアや業者の「教育移住まとめ」ではなく、実際にこの町で園を選び、通わせている一家庭が、選択肢の違いと選び方を意思決定の順に整理したものです。

結論:軽井沢の教育移住は「英語・受験」ではなく「自然の中で、子どもが自分で決めて楽しむ」を軸に選ぶと、町の強みと噛み合います。 幼児期は風越幼稚園・イートンハウス・公立保育園、小学校以降は風越学園(義務教育学校)・公立小中、高校は全寮制のISAKや周辺の高校、と選択肢が段階で変わります。どれが正解ということはなく、家庭が教育に何を求めるかで答えが変わります。

この記事では、情報を次の3つに分けています。

  • 公式情報:各校・町の公表情報(2026年7月時点)
  • わが家の一次情報:風越幼稚園に通わせ、他校も検討した実体験
  • 見聞きした話:知人など、わが家の直接体験ではない情報(断定はしません)

制度・費用・募集は変わります。進学を具体的に検討する際は、必ず各校の最新情報をご確認ください。

なぜ軽井沢で教育移住なのか:わが家の動機

まず、わが家がなぜ「軽井沢で子育て」を選んだのかを正直に書きます。教育移住の学校選びは、この「何を求めるか」から始まるからです。

東京にいた頃、いちばん引っかかっていたのは環境の窮屈さでした。家の前で自由に遊ばせるにも道路が近くて気が張り、公園は狭い。子どもから目を離せない緊張が、日常的にありました。軽井沢では、とにかく空間が広く、その心配がほとんどありません。

もうひとつが、教育観です。早くから受験や勉強を強いる空気に違和感があり、勉強に限らず「子ども自身が決めて、思いっきり楽しめる環境」で育ってほしいと考えていました。この価値観が、後述する風越幼稚園を選ぶ決め手にもつながります。

そして、夫婦で全国を旅してきた実感として、軽井沢は総合点が圧倒的でした。人の気の良さ(自由でマイペースな人が多い印象)、生活環境(ツルヤをはじめ買い物が快適、美味しいご飯、アウトドア施設、おしゃれなカフェ)、そして教育(主に風越)。ひとつの尖った理由ではなく、暮らし全体のバランスで選びました。軽井沢移住が向いているかどうかの一般論は向いている人・向いていない人にまとめています。

軽井沢の教育の選択肢:年齢別の全体像

軽井沢の教育移住で語られる学校は、対象年齢がばらばらです。まず、この地図を頭に入れると混乱しません。

段階主な選択肢タイプ
未就園〜幼児軽井沢風越幼稚園、イートンハウス軽井沢、公立・私立保育園森の保育/インター系/認可保育
小学校(1〜6年)軽井沢風越学園(義務教育学校)、公立小学校、イートンハウス初等部私立/公立/インター系
中学校(7〜9年)軽井沢風越学園、公立中学校私立/公立
高校UWC ISAK Japan(全寮制)、周辺の公立・私立高校全寮制インター/通学

ポイントは、**「幼稚園から高校まで一本で決まる町ではない」**ことです。風越は幼稚園から中学(9年生)までありますが、その先の高校は別。ISAKは高校のみ。イートンハウスは幼児〜初等部。段階ごとに選び直す前提で考えるのが現実的です。

ここからは、わが家が実際に検討・選択した順に、一つずつ見ていきます。

幼児期①:軽井沢風越幼稚園(わが家の選択)

わが家が選んだのは、軽井沢風越幼稚園です。学校法人軽井沢風越学園が運営する私立の幼稚園で、同じ法人が義務教育学校(小中に相当する9年間)も運営しています。

なぜ風越を選んだのか

決め手は、理念が「本気」だと感じたことでした。スケジュールがほとんど決まっておらず、いわゆる勉強はほとんどせず、子どもたち自身があらゆることを決めていく。こうした「子どもの意思の尊重」が、パンフレット上の言葉ではなく、思想と、そこから生まれた制度・仕組みのレベルまで一貫していると感じました。

もうひとつは、体づくりです。土砂降りでも雪でも外で遊ぶ。その環境で、体力と体の強さが自然に育つと考えました。これは、わが家が軽井沢移住に求めた「自然の中で、自分で決めて楽しむ」という価値観そのものでした。

通わせて分かった「合う家庭・合わない家庭」

理念に共感して選びましたが、通わせてみて分かった現実もあります。ここは検討中の家庭がいちばん知りたいところだと思うので、正直に書きます。

  • 時間的な余裕がないと厳しい:わが家の子どものクラス(3歳児)は週3日でした。フルタイムで預けきる保育園とは、前提が違います
  • 子どもは相当疲れる:一日中外にいて、気候も厳しい。子どもは本当に疲れて、夕方6時ごろには疲れ果てて寝てしまうほどです。裏を返せば、それだけ全力で遊んでいるということでもあります
  • 親同士のつながりが強い:保護者コミュニティの関わりが濃く、「あまり関わりたくない」というスタンスだと難しさを感じるかもしれません

総じて、とにかく自由で、体力がつき、子ども自身が心から楽しんでいる。わが家にとっては選んでよかった園ですが、「手のかからなさ」や「早期教育」を求める家庭には向きません。費用・送迎・弁当・行事などの詳細は風越幼稚園の口コミ・評判に、住むエリアと通園動線は風越に通うなら住むエリアにまとめています。

幼児期②:イートンハウス軽井沢(検討した選択肢)

わが家がもうひとつ検討したのが、**イートンハウス軽井沢(EtonHouse)**です。英語で学ぶインターナショナル系で、風越とはかなり性格が違います。比較検討したからこそ書ける、選択軸の話として整理します。

  • 運営:シンガポール発祥で、世界8か国以上に展開するインターナショナルスクール。軽井沢校は2020年にプリスクール(幼児)を開校し、2025年6月には初等部も開校しています
  • 教育の特徴:レッジョ・エミリアの考え方や国際カリキュラム(IPC)をベースに、英語環境で学びます。同時に、軽井沢校は自然の中での学び(キャンプ・川遊び・森の探索など)も打ち出しています
  • 場所:中軽井沢(長倉)

風越とイートンハウスは、「自然の中で子どもの主体性を大切にする」という点では重なりますが、英語で学ぶかどうかが大きな分岐です。国際的な環境や英語を重視するならイートンハウス、日本語の中で徹底して自由と自然を求めるなら風越、という軸で、わが家は最終的に風越を選びました。どちらが上ということではなく、家庭が英語・国際性にどれだけ比重を置くかの違いです。

(募集要項・費用・空き状況は年度で変わります。検討する際は必ず学校公式でご確認ください。)

幼児期③:公立・私立の保育園

共働きで預ける時間を確保したい家庭には、軽井沢町の認可保育園が現実的な選択肢です。町内には認可保育園6園と小規模保育1施設があり、申込は利用調整(保育の必要性の認定)が前提です。年度途中の入園は空き状況しだいになります。

申込スケジュール・途中入園・持ち物・費用は軽井沢で保育園に入るにはにまとめています。「教育移住=インターや風越」ではなく、まず保育園を軸に生活を組み立てる家庭も少なくありません。働き方と預けたい時間から逆算して考えてください。

小学校以降:風越学園を続けるか、公立か

幼児期の次に来るのが、小学校の選択です。ここでわが家の現在地を正直に書くと、まだ決めていません

風越学園は幼稚園から義務教育学校(9年生まで)へ続きますが、幼稚園から自動的に上がるわけではありません。そして、子どもが自分の意思を表明できる年齢になったら、子どもの意思を尊重して決める、というのがわが家の方針です。知人からは進学のリアルな話も聞いていますが、それは見聞きの範囲なので、ここでは断定しません。

公立という選択肢も、当然あります。軽井沢の公立小学校は東部・中部・西部に分かれ、学区は住所(行政区)で決まります。エリア名や住所の印象だけでは判定できないため、住む場所を決める段階で学区の確認が欠かせません。学区の決まり方・学校ごとの通学実態・放課後・風越との違いは軽井沢の公立小学校区まとめに整理しています。

つまり小学校以降は、「風越を続ける/公立へ/(英語重視なら)インター系へ」を、子どもの様子を見ながら選び直す段階になります。移住の時点で全部を決めきる必要はありません。

高校:UWC ISAK Japan という選択肢

軽井沢の教育を語るとき、必ず名前が挙がるのがUWC ISAK Japanです。ただし、これは高校(10〜12年生)だけの全寮制インターナショナルスクールで、幼児・小中とは別世界だと理解しておくのが大切です。

  • 概要:2014年開校、軽井沢にある全寮制の私立高校。国際バカロレア(IB)をオールイングリッシュで学び、生徒の多くが海外から集まります。日本の一条校としても認可されています
  • 費用:2026-27年度の年間総額(授業料・寮費・施設費など)は約722万円と案内されています
  • 奨学金:返済不要のニーズベース奨学金が手厚く、在校生の約7割が全額または一部の支援を受けているとされています(日本人も対象)

知人にISAK関係者もいますが、詳細な内情は見聞きの範囲なので踏み込みません。移住の実務として押さえておきたいのは、ISAKは全寮制なので「軽井沢に住むから通える」学校ではないという点です。世界中から生徒が集まる寮制高校であり、「軽井沢に教育移住すれば入りやすい」という性質のものではありません。町にこうした学校があること自体が、軽井沢の教育の層の厚さを象徴している、という捉え方が実態に近いです。

医療・生活:教育移住は「学校」だけでは決まらない

学校選びに集中しがちですが、子育て移住は医療と生活動線もセットで見ないと後悔します。

軽井沢の小児医療は、「平日日中は町立軽井沢病院の小児科や子どもも診るクリニック、夜間・休日は佐久方面が前提」という構造です。そして、子どもの医療費は2026年8月診療分から自己負担が無料になります。夜間・休日の動き方、休日当番医、出産事情は軽井沢に小児科はある?にまとめました。

また、風越をはじめ軽井沢の園・学校はスクールバスがない前提のところが多く、送迎は基本的に車です。住むエリアと通園・通学の動線は、風越に通うなら住むエリアエリア比較とあわせて、家探しの段階で考えておいてください。

選び方の軸:わが家が使った4つの問い

学校の数だけ見ると迷いますが、選ぶ軸はシンプルにできます。わが家が実際に使った問いを置いておきます。

問い風越寄りインター系寄り公立寄り
英語・国際性は必須か必須ではない重視する必須ではない
勉強・受験の位置づけ強いない探究中心標準的
子どもの主体性をどこまで最大限重視学校による
親のコミット(送迎・保護者関与)大きい大きい標準的

正解はありません。わが家は「英語より、日本語の中で自然と自由を最大化する」を選んで風越にしましたが、国際性を重視する家庭ならイートンハウス、働き方と両立を最優先するなら保育園+公立、という選択も十分に合理的です。家庭が教育に求めるものを言語化することが、いちばんの近道でした。

よくある質問

軽井沢の教育移住は、どんな学校が選べますか?

幼児期は軽井沢風越幼稚園、イートンハウス軽井沢(インター系)、公立・私立の保育園。小学校以降は軽井沢風越学園(義務教育学校)、公立小中学校。高校は全寮制のUWC ISAK Japanや周辺の高校です。段階ごとに選び直す前提で考えるのが現実的です。

軽井沢風越幼稚園はどんな家庭に向いていますか?

自然の中で子どもの主体性を大切にしたい家庭に向いています。一方、クラスによっては保育日数が少なく(わが家の3歳児クラスは週3)、子どもは一日中外で相当疲れ、親同士のつながりも濃いめです。早期教育や手のかからなさ、フルタイムの預け先を求める家庭には向きません。

風越幼稚園からそのまま義務教育学校へ上がれますか?

自動的に上がるわけではありません。幼稚園と義務教育学校は同じ法人ですが別の課程で、進学は改めて検討することになります。わが家は、子どもが自分の意思を表明できる年齢になってから、本人の意思を尊重して決める方針です。

風越学園・風越幼稚園に入って後悔することはありますか?

わが家は風越幼稚園を選んで後悔していませんが、「合わない家庭」は確実にあると感じます。保育日数が少なく共働きフルタイムと両立しにくい、勉強を教える園ではない、保護者の関わりが濃い、の3点が主なミスマッチ要因です。良い面と大変な面の詳細は風越幼稚園の口コミ・評判に、通わせた家庭として正直にまとめています。

イートンハウスと風越はどう違いますか?

どちらも自然の中で子どもの主体性を大切にしますが、最大の違いは英語で学ぶかどうかです。イートンハウスは英語環境の国際カリキュラム、風越は日本語の中で自由と自然を最大化します。国際性・英語を重視するならイートンハウス、という整理になります。

ISAKは軽井沢に住めば通えますか?

いいえ。UWC ISAK Japanは高校(10〜12年生)のみの全寮制で、世界中から生徒が集まります。「軽井沢に住むから通いやすい」という学校ではありません。費用は2026-27年度で年間総額約722万円ですが、在校生の約7割が返済不要の奨学金支援を受けているとされています。

教育移住は学校だけ見て決めていいですか?

よくありません。医療(軽井沢は夜間・休日は佐久方面が前提。子ども医療費は2026年8月から自己負担無料)、送迎(スクールバスがない前提の園・学校が多く車が基本)、住むエリアと通園動線まで含めて考えないと、暮らしが回らなくなります。

まとめ:軽井沢の教育は「自分で決めて楽しむ」に強い

軽井沢の教育移住は、「英語漬け」でも「受験に強い」でもありません。町全体の空気として、自然の中で、子どもが自分で決めて思いっきり楽しむ方向に強い町です。風越幼稚園・学園はその象徴で、イートンハウスは国際性を、ISAKは世界水準の全寮制を、公立は地域の暮らしを、それぞれ担っています。

わが家は「英語より、日本語の中で自然と自由を最大化する」を選んで風越にしました。でも、これはわが家の答えです。大切なのは、家庭が教育に何を求めるかを言語化し、それに合う選択肢を、幼児期・小学校・高校の段階ごとに選び直していくこと。移住の時点ですべてを決めきる必要はありません。

まずは各校の実際を、風越幼稚園の口コミ・評判公立小学校区まとめ保育園に入るには軽井沢の小児医療で確認し、住む場所は風越に通うなら住むエリアとあわせて検討してみてください。軽井沢移住そのものを迷っている段階なら、向いている人・向いていない人から読むのがおすすめです。


※ 各校・制度の情報(軽井沢風越幼稚園・軽井沢風越学園、イートンハウス軽井沢の開校時期・カリキュラム、UWC ISAK Japanの学費・奨学金・一条校認可、軽井沢町の保育園・公立小中学区・子ども医療費助成)は、各校・軽井沢町の公表情報(2026年7月時点)を参照しています。費用・募集・制度は年度で変わり、進学の可否や条件は各家庭・各校の状況によって異なります。検討の際は必ず各校の最新の募集要項・公式情報をご確認ください。わが家の記載(風越幼稚園に通わせた体験、イートンハウス等の検討、動機・方針)は、2024年10月に移住した一家庭の体験・見解であり、園やクラス・年度によって実際は異なります。知人から見聞きした話は、わが家の直接体験ではないため、本文では断定を避けています。